淀君ゆかりの愛染明王を祀る天環山と伏見城外から移宮した金札宮がその前身。かつて金札宮は寺の鎮守社であった。東運寺三世の要津祖梁和尚により、曹洞宗の寺として改められた。鳥羽伏見の戦いで消失し、焼け残った武家屋敷の木材で復興されたとされる。平成9年に現在の伽藍となる。
朝の空気に包まれて
酒造りで有名な京都・伏見。古くは城下町として栄え、今なおその風情が残ります。お寺の玄関を入ると、平田宰己ご住職が迎えてくださいました。
本堂には、常連の方でしょうか、すでに何名かの姿があります。その後、二名の初参加者が来られました。
東堂(前住職)の平田卯村老師により止静の鐘が打ち鳴らされ、坐禅が始まりました。
鐘の音とともに、堂内の空気が「シーン」と静まります。
時折、聞こえる鳥の声。やわらかい光が差し込む本堂で、朝の雰囲気を感じながら坐ります。なんともすがすがしく心地よい気分です。坐禅は約30分。長過ぎず、短すぎず。心静かに坐ることができました。
坐禅が終わると、朝のおつとめ。お経の本を手に、一列に並び「般若心経」を読経します。お腹の底から声を出すと深い呼吸になるのでしょうか、心身がスキッと引き締まります。
引き続いて作務。作務とは、禅寺における諸作業全般を意味します。日常の全てが修行ですから、いわゆる「雑務」はありません。短い時間ですが、それぞれが雑巾や帚を手に掃除を行いました。
坐禅がもたらす変化
最後にお茶の時間です。温かいお茶とお菓子で、ほっと一息。東堂老師が住職になった頃に始めた坐禅会は、かれこれ40年の歴史があります。「坐禅は自分自身の心を定めること。日常にもその心をもってもらえる」と東堂老師。後を引き継いだご住職も「月一回開催しています。気軽に参加してください」とおっしゃいます。
30年以上も参加する方や、たまたま門前の案内を見て来る方など坐るきっかけは様々。「落ち着きが増した」「健康にプラス」「心の変化に気がつくようになった」など、それぞれ日々の暮らしにさわやかな変化があるそうです。心地よい心の張りをもたらしてくれる坐禅会でした。