参禅体験レポート

慈眼院(じげんいん)・滋賀県日野町

楽寿観音霊場 しゃくなげ寺

山門をくぐると這うように枝を巡らせた立派な松の木。「不老之松」と名付けられた銘木で、青々とした松葉がその生命力の強さを表わしています。ここ慈眼院は近畿楽寿観音霊場の一つで、全国各地から参拝者が訪れるといいます。

滋賀県日野町には天然記念物「鎌掛谷のホンシャクナゲ群生」がありますが、慈眼院にも多くのシャクナゲが植えられています。春には大輪の花が咲き誇り、「しゃくなげ寺」として知る人ぞ知る、隠れた名勝です。

また大本山永平寺の七十三代 熊澤泰禅禅師がかつて住職をつとめられたお寺で、現住職の松浦泰俊老師は熊澤禅師の法孫にあたります。その縁もあり、禅師の筆による貴重な書が多く掲げられています。

慈眼院
不老之松
慈眼院
慈眼院

仏の心を育てる坐禅

毎月一回、早朝六時からはじまる坐禅会は平成十四年四月七日にスタートしました。坐禅会場でもある円通会館の改装が契機。「三日坊主の私が良く続けたものだ」と、当時からの記録が記された帳面を手にする松浦老師。参加者の増減はありながらも、休むことなく継続しています。

お寺を訪れた日は小雨もよう。早朝の清らかでしっとりとした空気に満たされた境内は静寂そのものです。座蒲に坐り足を組み、心静かに坐ります。背筋をのばし、ゆったりとした自然な呼吸によってしだいに心が落ち着きます。ぼんやりとした気分ではなく、シトシトと降る雨音が聞こえるかのような心地よい緊張感です。

坐禅の後半には法話があり、「玉は磨いてこそ輝く。眼鏡と同じで磨かないと曇ってしまう。坐禅、教えは実行することで皆さんの仏さまの心が育つ」と話されました。

「濁りなき 心の水に すむ月は 波も砕けて 光とぞなる」

最後は弟子の俊雄さんによる『坐禅御詠歌─浄心─』の独詠で締めくくられた坐禅会。その旋律の余韻に浸りながら、お寺を後にしました。

慈眼院の坐禅
慈眼院の坐禅
慈眼院の坐禅
慈眼院の坐禅

寺院概略

南山王宮 日枝神社に隣接し、寺伝によると、神社にあったお堂を岡本町へ移して、慈眼院と号したが、後に三人の尼僧らの托鉢によって財を集め、天明元年 1781年にお堂が建てられたとされる。本尊は十一面観音で、脇侍は不動菩薩と多聞天。いずれも古仏で、聖徳太子の作と伝わる。

坐禅会DATA

日時
毎月 第1日曜日
時間
午前6時〜6時40分
内容
坐禅と法話
参加費
無料
TEL
0748-52-1460

慈眼院(じげんいん)

住所
滋賀県蒲生郡日野町大窪1317
交通
近江鉄道「日野駅」から車で7分
名神高速「蒲生スマートIC」より車で20分
慈眼院への地図
※記事は取材時点での内容です。