禅のお話
ほとけに出逢う
第1回 吾に正法眼蔵涅槃妙心あり。摩訶迦葉に附嘱す−釈尊−
読み(われにしょうぼうげんぞうねはんみょうしんあり。まかかしょうにふぞくす−しゃくそん−)
『法華経』が説かれた場所として重要な霊鷲山という山があります。
ある日ここにみんなが集まって説法を待っていると、お釈迦さまは何も説かずに、黙って青蓮華の花を拈じて(つまんで)瞬きをされました。これを拈花瞬目(ネンゲシュンモク)と言います。
誰もその意味が分からずぼんやりしていましたが、一人摩訶迦葉尊者は、それを見てにっことり微笑まれました。これを破顔微笑(ハガンミショウ)と言います。
この時お釈迦さまは「吾に正法眼蔵涅槃妙心あり。摩訶迦葉に附嘱す」と言われました。正法眼蔵涅槃妙心とは、仏法そのものを表す言葉です。
「正法眼蔵」とも「正法」とも言います。
お釈迦さまの法が、そっくりそのまま摩訶迦葉尊者に伝わったことを証明されたのです。
仏道は、いくらお経を聞いても憶えても、仏さまの心が伝わらなければ駄目なのです。この心を伝えているのが宗門です。「正伝の仏法」と言います。摩訶迦葉尊者は、正伝の仏法を受け継いでお釈迦さまの跡継ぎとなられた最初の祖師ですから、「初祖」と言います。
2007.07.04 掲載