ピックアップ寺院
永谷山 円通寺
円通寺の本堂
現在の本堂や庫裏は、天保年間(1840年)に焼失後再建されたもので、本堂は二層屋根になっており、唐風を連想させる。施無畏殿と呼ばれる本堂は、幅が12間(40m弱)、奥行きが7間(20m強)の御殿造りで、木造建築としては当地方最大の規模を誇る。
「施無畏」とは当山の本尊である観音様の異名でもあり、お参りする人々の悩みや畏れを和らげ、幸せに導いてくださる霊験があるといわれる。
- 円通寺の本尊
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御本尊は如意輪観世音菩薩像。
明徳3年(1393年)、南朝後亀山天皇が北朝後小松天皇へ神器を伝えることで南北朝の対立は終わる。
南北朝合体を祈願されていた後小松天皇は南北朝講話のなった翌年、御自らお彫りになった一刀三礼の像を当山に下賜されたと伝えられている。
躍然遠擧の碑
本堂前に立つ苔むした「躍然遠擧」の碑は、幕末の志士にして墨客としても名高い明治維新の功労者「山岡鉄舟」の筆に成る。親交のあった当山第40世「日置黙仙」(ひおきもくせん)和尚の功績を讃えて揮毫したもの。
当山に鉄舟直筆の原書が残されている。
日置黙仙和尚は幾多の海外教化活動の後、大本山永平寺66代貫首となり曹洞宗管長を勤め仏教界全体の再興に多大な功績を残された。
山門(仁王門)
左右には仏国土、仏法を守る守護神として四天王の持国天(東方)、増長天(南方)像が安置されている。
放生池(ほうじょうち)
仁王門から境内に入ると、左右に放生池が広がる。 右手の池のあたりにかつてこの場所に「光源氏」のモデルとれされる「源融」が建立した賀茂大明神があった。
500年もの間、地域の人々の信仰を集めた「賀茂大明神」は、円通寺建立に際し現在の賀茂神社(町内賀茂)と、神野神社(町内北御油)に分祀された。
- 源融(みなもとのとおる)
- 第52代嵯峨天皇の皇子。歌人として、また源氏物語の主人公、光源氏のモデルとしても高名な河原の左大臣のこと。
大杉・タブノキ・イトザクラ
参道を登ると左手、池のほとりに樹齢約700年の丹波市指定天然記念物の円通寺大杉がそそり立つ。
「賀茂大明神」の御神木と崇められ、今も閑に円通寺を見守り続けている。
本堂裏土蔵前にはクスノキ科のタブノキ(樹齢300年)と、バラ科のイトザクラ(樹齢200年)があり、ともに併せて市の天然記念物となっている。
水琴窟
竹筒の上端に顔を近づければ、心の中まで洗われるような澄んだ音色が聞こえる。
円通寺の人気スポットの一つ。
子育地蔵尊
本堂の左手奥に子育地蔵が祀られている。
久しく子供ができない人に、お子を授けてくださる霊験あらたかなお地蔵様として、大勢のお参りがある。