そこへ来られたのが慧可(えか)大師です。 雪の降りしきる夜、立ちつくして入門を乞われます。明け方、雪は膝を過ぎるまで積もりましたが、達磨大師は許されません。慧可大師は遂に利刀を取って自分の臂を断って師の前に置かれ、ようやく許されました。
以下は慧可大師と達磨大師との問答です。
(慧可)「私の心は寧らかではありません。どうか安んじてください」
(達磨)「では、心を持ってきなさい。安んじてあげよう」
(慧可)「心を求めましたが、得ることができません(心を求むるに不可得)」
(達磨)「私はお前の為に心を安んじ終わった」
(達磨)「では、心を持ってきなさい。安んじてあげよう」
(慧可)「心を求めましたが、得ることができません(心を求むるに不可得)」
(達磨)「私はお前の為に心を安んじ終わった」
慧可大師は安心を得ようとされました。「心というものを持ってくれば安んじよう」と達磨大師に言われて、その「心」は「得られない」ということに気付かれたのです。この「心」とは、「正法眼蔵涅槃妙心」の心です。