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ピックアップ寺院
青原山 永澤寺
花しょうぶと精進料理のもてなし
永澤寺(ようたくじ)は摂津と丹波の境、海抜550mの山々に囲まれた摂丹境に位置し、自然と四季の花々に彩られる640余年の歴史を有する名刹である。関西花の寺25カ所霊場の第11番霊場としても親しまれ、特に6月上旬から7月上旬にかけて花菖蒲650種、300万本が咲き競い、まさに花絵巻のような美しい風景に彩られる。この開花期に合わせ、期間限定で精進料理を提供している。
毎年、関西一円から数多くの人々が参拝に訪れる永澤寺であるが、これまでの波瀾万丈の道のりを渡邊住職にうかがった。
渡邊老師は昭和39年大学卒業と同時に先代住職の弟子に入り、安居の後、昭和43年より寺を留守にする住職に代わり常在し護持してきた。
当時、伽藍は朽ち果て、加えて檀家の数も少ない寺をどうして護るか大いに悩んだそうである。
そこで、とにかく寺に人を集めようと、門前の旧寺所有田の活用を模索する中、過疎対策として地域住民と共同で寺と地域の観光化を決意した。
縁あって静岡県より50万本の花菖蒲苗を購入し、資金も無いため3年がかりで手作りの観光花菖蒲園を創り上げた。
当時は道路も狭く、通る車もわずかな山村僻地であったが、唯一の交通機関であった国鉄(現JR)バスの協力でPRに努め、50年の開園時には34,000人もの人々でにぎわうこととなる。これは、永澤寺を終点とする国鉄バス乗務員の宿泊、接待を6年間無料で奉仕したお返しだったのだろうと住職は当時を振り返っていた。
この花しょうぶ園に訪れる来園者に昼食を提供するため、婦人会に依頼して地場の山菜や煮染を詰め合わせた「茶めし弁当」を販売。これが飛ぶように売れるが、次第に世話人が途絶え休止となる。事態を憂慮した住職は一念発起し昭和54年、夫婦二人三脚で精進料理を始める。
食材は、大本山總持寺の親しい典座老師と共に、永澤寺の精進料理に合った選りすぐりの食材をピックアップ。現在も横浜の専門業者から仕入れている。
一日400食。「それは、言葉では現せない程の忙しさでした」と当時を懐かしく振り返る住職夫妻。「精進料理は私のライフワーク。人と出会う事が幸せ、美味しかったの一言が私の喜びです」と語る奥様。「食事への感謝の心、人を思いやる心を忘れてはいけません」と住職は話す。
自然と花と心のこもったもてなしで迎える永澤寺。食事の客は年配の夫婦連れが中心だが、若い人達やファミリーも楽しめる。渡邊住職は、これからも可憐な花を植えて、訪れる皆さんに癒しのひとときを過ごしていただけたらと、今後の抱負を語ってくれた。
カヤ葺きでは日本に二カ所といわれている
永澤寺様式の仁王尊を祀る
花しょうぶの季節のみの味覚─永澤寺の精進料理
おしながき
- ●松花堂
- 茶めし/お吸い物/胡麻豆腐
- ●煮物
- 精進湯葉包み/山菜きんちゃく/儀生焼/たけのこ・わらび
- ●揚げ物
- 里芋枝豆の香草揚げ/山の芋厚揚げ/海老草あられ揚げ/豆乳餅玄米揚げ その他
- 永澤寺の縁起
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青原山永澤寺(せいげんざん ようたくじ)は、後円融天皇が室町幕府官僚の細川頼之卿に命じ七堂伽藍を建立させ、応安3年(1370)に通幻寂霊禅師を開祖に迎え勅願所とされ、さらに青原山の勅願を受け日本最初の僧録となった禅寺である。
歴代住職により整備された諸堂は長享元年(1487)に焼失したが、徳川家により慶長13年から15年(1608~1610)に復興され、丹・但・播三国の僧録に任じられた。
再度の火災後、安永年間(1772)頃に再建されたのが現在の本堂・開祖堂・庫裡である。
本尊は釈迦如来、大日如来、阿弥陀如来の釈迦三尊をお祀りしている。
堂内の秋葉殿には火防に霊験あらたかな秋葉三尺坊大権現が祀られており、開祖生誕の因縁に思いを寄せた総高9.2mの大観世音菩薩が妙高閣に、総高3.6mの大地蔵菩薩を開祖堂前にお祀りしている。
境内は16,000坪。この広大な敷地に「三田霊園」、永代供養墓「寂静苑」、ペットの総合斉場「さんだ動物霊園」を併設している。
- 永澤寺の主な行事
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永澤寺では、副住職主宰の月例坐禅会を毎月第2土曜日、夜7時から9時に開催しています。この他にも坐禅会を催しており、参禅希望の方は事前に予約を。詳しくは、永澤寺ホームページでも案内しています。
月日 内容 1月1日・2日・3日 新年祝祷会法要 2月15日~3月15日 大涅槃図奉祀 3月15日 釈尊涅槃会(おかくれの日) 3月彼岸 春彼岸会法要 3月28日 火防祈祷法要「秋葉大祭」 5月1日~8日 釈尊降誕会・花まつり(お誕生の日) 5月8日 開祖忌法要(御開山様のご命日) 8月9日~15日 盂蘭盆会法要 9月彼岸 秋彼岸会法要 12月第1土、日曜日 臘八摂心参禅会 12月8日 釈尊成道会(おさとりの日) 12月18日 おさめ観音まつり 12月31日~1月1日 除夜の鐘つき