禅のお話
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手の心
奈良県 宝泉寺住職 北野伸英 老師
私達は何故 手を合わせるのでしょうか。
それは大切なものを守り愛したいからです。
手の平のことを「掌(たなごごろ)」と申します。「たなこころ」、つまり手の心のことです。右手の心と左手の心、あなたはその中に何を包みますか?ご両親でしょうか。それとも子どもさん、お孫さんでしょうか。友人、恋人、或いは大事にしているプレゼントだったり、心にしまってある大切な思い出かもしれません。
形の有るものでも無いものでも、あなたが愛しているものを両手の心の中に包んでみてください。
力が入りすぎていませんか? それでは大切なものが潰れてしまいます。
手が離れていませんか? それでは大切なものがこぼれ落ちてしまいます。
力が強過ぎず弱過ぎず、ちょうど良い加減でしばらくくいると、自然と肩の力も抜けて、心も身体もリラックスしてきます。それもそのはず、今あなたの手の中にはあなたの愛するものが包まれているのですから、穏やかで優しい気持ちにならないわけがありません。両の手で大切なものを守っていたのに、いつの間にかその大切なものに逆に守られているかの様な気持ちになってきます。あなたの愛するものが、やがてあなたを幸せにしてくれているのです。
掌、手の心を合わせるのが「合掌」です。合掌するあなたの姿が、あなたの本当に尊く美しい姿です。
「手の心/北野伸英 老師」(音声:2分36秒)
2012/11/20