禅のお話
過去の法話
愚痴を減らそう
あなたは、ストレスをどのように発散されていますか。
景気も今ひとつ振るいませんし、給料は減らされるし、会社の帰りに、赤ちょうちんで上司の悪口や日頃の愚痴をこぼしてストレスを解消したくもなります。
「課長の浮気が見つかってね」「近所の奥さんの話だがね・・・」と、うわさ話が格好のつまみとなって、酒の量がどんどん進みます。
人間は感情の動物と言われていますが、他人の批評は好きだし、他人のことが自分以上に気になるものです。このような時、悪口は自然に出てきます。
なぜ、自分が悪口を言われるのか、考えたことがありますか。悪口を言われるのは、あなたの存在が認められ、そこにいるからです。
学生さんが、サークル活動などのコンパで、お酒を飲んで騒いでいますが、世間の人は大目に見ていますね。これは、学生さんを一人前の人と認めていないからでしょう。ところが、わが国を代表する内閣総理大臣ともなりますと、マスコミからしょっちゅう悪いことを言われ、批評されています。
一般には、仕事のできる人は悪口を言われやすいようです。
書家であり、佛教詩人の相田みつを先生は、
「一生懸命やってきた<のに>とよく言いますが、<のに>と言う思いの底には、自分に対してもっと大きな評価をしてくれてもいいはずだという期待があるんですね。<のに>がつくと、次には<愚痴>が出て、今までの人間関係が崩れてきます。<のに>や<愚痴>は言わぬことです。」
と、戒められておられます。
愚痴を言うとストレス解消になりますから、まんざら悪いこととはいえませんが、我が身にかえってくることを忘れてはいけません。
世界が悪い、社会が、家庭が、親が、妻が、子どもがと不平や不満を言い出したら、「じゃあ自分は?」と自問自答してみることです。
他人から悪口を言われたら、その人を恨むのではなく、自分がこれまでに犯した罪が一つ減ったと思って我慢をすると、悪口や愚痴も少しずつ減っていくのではないでしょうか。