禅のお話
過去の法話
静かなる心
京都府 萬歳寺住職 服部俊憲 老師
見えない力、見えない仏に畏敬の念をはらい感謝することは人として大切なことです。
この心が人を謙虚にさせ、驕ることなく生きてゆくことにつながると思います。
このことが徳であり、日本の文化である。
日本人に最も親しみのあるお坊さんは良寛さんです。
この良寛さんには謙虚さがにじみ出ている。私にはない含羞性があります。
良寛さんのこの考えは、道元禅師さまがお書きになりました『正法眼蔵』が中心です。『正法眼蔵・生死の巻』の中に
『佛と成るに、いと安き道あり。もろもろの悪を作らず、生死に著することなく、一切衆生の為にあわれみ深くして、上をうやまい、下をあわれみ、よろづをいとう心がなく、ねがう心なくて、心におもうことなく、うれうることなき、これを佛と名づく』
という教えがあります。
この教えは、「けっして悪いことはしない。心にも思わない。自分の人生に執着せず、ひたすら仏に近き、自らの心を清め人として一番高いところを目指す」生き方です。
その一端として、自らのいましめとして
いかつがましく物をいう
親切らしく物をいう
物知り顔に言う
さとりくさき話など自らいましめて生きたのです。
それが謙虚さに、驕ることなく生活し、含羞ある人物と見え、多くの人々に愛され親しみを感じるゆえんです。
2003/09/02