過去の法話

心の声を聴く

兵庫県 琴松寺住職 平和宏昭 老師

NHK朝のドラマ「さくら」ご覧になっていますか。

ハワイから英語の補助教員として日本に赴任してきた「さくら」がこのドラマの主人公で、高野志穂さんが演じています。
英語の先生役の野口五郎さんとは、意見が食い違いながらも人柄を理解していきます。
ある日、先生と離婚した奥さんが学校を訪ねてきました。おせっかいなさくらは、持ち前の明るさで、2人の仲を取り戻そうと努力しますが、なかなかうまくいきません。校長先生は、それぞれの言い分を聞きますが、ことばと心がうらはらであることに気づき、さくらに協力することになります。別れた奥さんの再婚が決まり、結納の日、先生は「待った」をかけます。そしてお互いに心を打ち明け、自分に正直でなかったことを反省し、めでたしめでたしとなりました。

こんなこと、あるかもしれませんね。

校長先生は、「私たちは、自分の心を見ずに暮らしているのではないだろうか。自分の心の声に従うことです。」と、お話されていました。

現代は、情報やモノが溢れていて、静かに自分を見つめることを忘れているのではないでしょうか。
「自分の心の声」とは、偽りのない自分の本音の心です。

しゃべるぬいぐるみの電子ペット「プリモプエル」ご存知ですか?赤ちゃんのようなかわいい人形で、40歳から60歳の主婦にとても人気があるようです。手のひらサイズの動物ロボットも人気があります。
子育てを終えて、なんとなく心寂しい、こうした心を癒すペットとして人気があるのでしょうか。
科学はまだまだ発達するでしょう。だからといって、自然科学が、人間の悩みや心を癒してくれるとは思えません。

お釈迦様は、
「雲の上に出れば雲はない、泉の底が深ければ波は立たない」(『雑阿含経』耕田)
と諭されました。

「感情は雲のようにふわふわとしたものでかたちを変えるが、一歩出れば、青空が広がっている。感情の底には、<波立たないもう一人の自分がいる>この自分が本当の自分である。」と教えられたのです。
自分の気持ちに正直にになり、心の声を聞くことが出来れば、心は晴れやか、笑顔も、喜びも楽しみも生まれてくると思うのです。

2003/08/26