禅のお話
過去の法話
ちょっと一言
パソコンやインターネットの時代ですが、人の顔を見て話ができない人が増え、家庭でも職場でも、出会っても、ぶつかっても、挨拶を交わさないようです。
なぜ、挨拶をしなくなってきたのか、日常生活を考えてみてください。
スーパーマーケットでは、黙って好きなものを選び、カゴにいれ、レジで会計をすれば話さなくても買い物が出来ます。
どこでも見かける自動販売機。コインを入れればジュースやコーヒーを買うことができます。
いつの間にか、人間と人間の関係が自動販売機と人間、インターネットと人間の関係に変わってしまいました。
挨拶という言葉は、仏教から出た言葉で、「修行者がお師匠さんに問題を持ちかけて答えを求めていく」という意味です。つまり、命と命のふれあいが挨拶です。
朝、「おはようございます」と家族で挨拶を交わしておられますか。
「おはよう」「ありがとう」「すみません」「はい」「さようなら」この五つの言葉は、人間関係を築く上の基本です。
近所のお婆さんが、こんな事を言われました。
「方丈さん、私の方から嫁に〈おはよう〉と声をかけても返事をしてくれないんです。挨拶というのは、若い方からするもんじゃないでしょうか」
なるほど、と聞いていたのですが、このように答えました。
「挨拶せずに育ってきたお嫁さんが、嫁いできたからといって、さっそく出来るわけがありません。こちらから声をかけていくことです。とくに、中学や高校に通うお孫さん。〈おはよう〉と声を掛けても、なかなか返事をしてくれませんね。けれども、毎日毎日、無駄と思っても〈おはよう〉と声を掛けてください。いつかは、返事をしてくれます。その日の来ることを楽しみに毎日続けていくことです」と話しました。
近所の人に、挨拶をしても、返事をしてくれないことだってありますね。
間違い電話、かかってきませんか。こっちが「違います」と言ったとたん、何も言わずにガチャンと切ってしまう人がいます。困ったものです。やはり「間違えました。すみません」と一言詫びるべきだと思います。
「やさしい言葉での語りかけ」は、人間関係の原点です。
「おはよう」「ありがとう」「すみません」「はい」「さようなら」この五つの挨拶は、情報化社会になればなるほど、取り戻さなくてはならな大切な言葉です。