禅のお話
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ありのままの命にカンパイ
「ありのままの命にカンパイ」
これは、重度の身体障害者である遠藤 滋さんの命の叫びです。
遠藤さんは、東京の世田谷にお住まいですが、重度の身体障害を持って、この世に生まれました。
足で字を書き、立教大学を卒業し、養護学校の先生になった努力と根性の人です。ところが、障害が重くなって、数年前からはベッドに寝たきりの生活になりました。
遠藤 滋さんのもとには多くの若い人々がボランティアとして集まってきます。驚いたことに、その数が今日に至るまで延べ1000名を超えたのです。
その記録映画『えんとこ』が発表されました。
重度の身体障害を乗り越えて、めげずに力強く生きようとする遠藤さん。介護のボランティアの光り輝く笑顔。遠藤さんに出会えてよかった、遠藤さんが障害を持っていなかったら、遠藤さんに出会えなかったと涙を流す若人。
ラストシーンは、ボランティアの若い男女にささえられ、まったく動くことの出来ない遠藤さんが青い海に入っていき、一歩一歩踏みしめながら前進する感動のシーンでした。
道元禅師は、生かされている一瞬一瞬の私たちの命が実は仏の御いのちであると教えられました。だから生きることを嫌がっても、生きることを欲張っても、仏の御いのちを失うことになると教えられたのです。
「人間は頂いたものが全部違う。顔も違えば、鼻も目も背丈もみんな違う。違うことが尊いのだ。違うとことが尊いのだ」と心の底から、からだの底から目覚めます。そして遠藤さんは「ありのままの命にカンパイ」と叫びました。
欲張らず、嫌がらずありのままの命をいかして生きる。
ありのままの命にカンパイ。