過去の法話

三つの宝

兵庫県 琴松寺住職 平和宏昭 老師

昨年末、NHKがテレビドラマの特別企画として聖徳太子を放映し、静かなブームを呼んでいます。
聖徳太子は、「十七条の憲法」を制定し、

篤く三宝を敬え。三宝とは仏法僧なり。すなわち四生の終帰。万国の極宗なり。

と条文に盛り込まれ、政治も国民も生きていく生活信条としてこの教えを尊び敬うように発布されました。

仏教徒にとって最も基本的なことは、「三つの宝(三宝)」(さんぼう)に帰依し、生活することです。
道元禅師さまは、『修証義』第三章で、

仏は是れ大師なるが故に帰依す(仏さまは偉大なるお師匠さまである)
法は良薬なるが故に帰依す(み教えは良く効くお薬である)
僧は勝友なるが故に帰依す(僧は勝れたよき友達である)

と、仏法僧の三宝を、心の帰依の的としてお示しくださいました。

「帰依」とは、家に帰えるの「帰」と「依る」と書きますが、文字通り仏の家に帰り、仏の心に帰ることです。
私達は、懸命に働いていても、最後に身体を休めるところがあるから、安心して働けるのです。
旅行をして、ご馳走をお腹いっぱい食べ、楽しく過ごしていても二〜三日たつと家に帰りたくなります。

何故でしょうか。
我が家が一番心の落ち着くところだからです。
帰依とは、我が家に帰えるのと同じように、仏の家に身も心も投げ入れ、仏を心の底から信じることです。
家庭の崩壊、断絶という言葉をよく耳にしますが、心のよりどころを失ってきたためではないでしょうか。 

大本山永平寺貫首・宮崎奕保禅師さまは、三宝を解りやすく、
 
●南無帰依仏は、素直になりましょう。
●南無帰依法は、きまりを守りましょう。
●南無帰依僧は、仲良くしましょう。

とお示しになっておられます。
仏法僧の三つの宝を心のよりどころにした信仰の生活が大切です。

2003/05/13