過去の法話

みんなちがってみんないい

奈良県 平等寺住職 丸子孝法 老師

「ぜひ、お読み願いたい新刊に出会いましたので、お届けいたします。」
と山口県のあるお寺の住職さんから一冊の本が送られてきました。
『みすずさんへの手紙』という本でした。

明治36年に山口県の長門市に生まれて、26歳の若さで世を去った、童謡詩人・金子みすずさんの事を私は初めて知りました。
その本の中に「私と小鳥とすずと」という素晴らしい詩がありました。

わたしが両手をひろげてても、
お空をちっともとべないが
とべる小鳥はわたしのように
地面(じべた)をはやくは走れない

わたしがからだをゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように、
たくさんなうたは知らないよ。

すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。

80年もまえにつくられたとは思えない、金子みすずさんのこの詩。
とても新鮮で感激してしまいました。

特に最後の部分がいい。
「すずと、小鳥と、それからわたし、みんなちがって、みんないい。」

何度も読み返していくなかに、大きな発見をしました。
2500年の昔、お釈迦さまは、この世の中のすべてのものが光り輝いている事を発見されました。
そのことを金子みすずさんは、みごとに「みんなちがって、みんないい」と表現したという発見です。

泣きながら歩いているあなたも、つまずきながら歩いているあなたも、恋に輝いているあなたも、みんなちがって、みんないい。

2003/03/25