禅のお話
今月の法話
気楽に
京都府 神応寺住職 安達瑞光 老師
私達は仕事で、あるいは日常生活で、どうしても身体の疲労や精神的な無理によって体内に歪みが生じてしまいます。これがストレスです。
「肩書きがとれて 肩こりしなくなり」というサラリーマン川柳がありますが、ストレスを適当に解消して、気楽に生きればいいのですが、なかなかそうはいきません。
精神的圧迫を感じないような生活を心がけ、自分という生命体に素直な生き方をすべきですが、どうしても私たちは自我の欲望のおもむくままに、わがままな生き方をしてしまうから、自分自身で悩み苦しんでしまいます。悩み苦しみが解消されずに重なり蓄積していくと心身の不調をきたしてしまいます。
背筋のばして息をゆっくりと吐く呼吸法によって脳内に、セロトニンという物質が増えて心身が安らかになるということが最近わかってきました。脳内の神経伝達物質のひとつであるセロトニンは、ほかの神経伝達物質であるドーパミン、ノルアドレナリンをコントロールして精神を安定させ、不快感が鎮まり癒されます。セロトニンにはこのような作用があると言われています。セロトニンが不足すると感情にブレーキがかかりにくくなり、うわずった気持ちで落ち着きがなくなったり、あるいは無気力な状態や、うつ病になりやすいなどといった指摘があります。
背筋のばして息をゆっくり吐く呼吸法によって、悩み苦しみのない本来の自己である生命体に、たとえ一時でも立ち返れます。背筋のばして静かに坐り息をゆっくり吐く呼吸法はお釈迦さまの教えです、時々試してください。元気が出ます。希望がわいてきます。自然の活力を体いっぱいにいただいて、生気がみなぎってくるでしょう。
自分らしく生きる。身の丈に合わせた生き方をする。背伸びしない。日常生活で、この開き直りが大切です。
2012/05/17