禅のお話
今月の法話
願いに生きる〜法〜
今回は「佛・法・僧」という三帰戒の「法」についてお話いたしましょう。
「法」は法律の法という字を書きますが、サンスクリット語では「ダルマ」といいますし、パーリー語では「ダンマ」といいます。
「法」と言うことを、簡単に「全宇宙の法則」などといわれますが、それでは実際にはよくわかりません。少し解りやすくお話いたしましょう。
一つのものが存在するためには、色々な条件が必要です。その条件を支えるための条件もまた必要ですね。さらにその条件を支えるための条件が整わないことには、条件が壊れてしまいます。このようにしてこの世の中のものすべてのものは地球上のものであれ、宇宙であれ、形があってもなくても すべては色々な条件が絡み合い、支えあい、引き合いして絶妙なバランスの上に成り立っています。この絶妙なバランスを「法」と呼んでいます。
道元禅師さまは「法は良薬なり」とお示しですが、私達の身も心も共に絶妙なバランスの上に成り立っています。
時間が不規則な生活、偏った食事や暴飲暴食、精神的な不安やいらいら、対人関係の乱れ、自然環境の破壊、大気の汚染や気温の変化、大地の汚染や水質の悪化などなどちょっとした障害が私達の身心に大きな影響を及ぼします。
このようにして見ますと、誤った思想や誤解も人々の身心のバランスを壊すことになります。
「嘘」をついて人を騙すことが大きな罪悪とされるのも道理ですね。
また、大気汚染や水質汚濁、ごみのポイ捨てなど、環境を破壊することが、どんなにか絶妙なバランスを壊すことかわかりません。
「法は、良薬なり」「バランスは良薬なり」と置き換えて道元禅師さまのお言葉をしっかり噛み締めたいものです。