禅のお話
今月の法話
ほどほどが大事
今の日本は、食べることも、着る物にも不自由のない生活が出来ますが、昔は、麦ご飯に梅干というお弁当を持って学校に行きました。
小学校の頃の遠足、楽しかったですね。キャラメル一箱のおやつです。お正月やお祭りも楽しかったですね。ニワトリ一羽を料理して、「かしわのすき焼き」がお腹一杯食べられました。
今は、一年中、ご馳走が食べられます。子供たちは、生まれた時からおもちゃが与えられ、、お菓子は食べ放題、好きなモノは買ってもらえます。こうした生活が当たり前ですから、「有り難い」と思いようがありません。
無いところから出発して「有ることの喜び」を知った世代の人たちと違って、今の子供は、次から次へと新しいモノが販売されますと、すぐに買い求めます。豊かになりすぎて、私たちはモノと心のバランスを崩してしまっているのではないでしょうか。
大本山総持寺の元貫首・板橋興宗禅師は、欲望について、
「人間という動物は文化という便利な生活を知ったので、文化生活にブレーキを掛けることは難しいと思います。丁度、おいしいお酒の味を知ったようなものです。アル中になってこの身体をダメにするまで飲み続けるかもしれませんね。」
とお話されました。
私もお酒を頂きますのでとても良く分かります。 やれ純米酒だの吟醸酒だのといって、飲み比べをします。 おいしい味を知ってしまうと、もうダメですね。そして、終いには、身体を悪くしてしまうのです。
私たち人間は、意志が弱くて欲望の固まりなんです。どうしても、今よりは良い物、より美味しいもの、より贅沢なものを手に入れてたくなり、「もっと、もっと」と欲望が膨らんでいくのです。
お釈迦様は、欲望を捨てるのではなく、「欲を少なくして、足ることを知ることが幸せを実感する根本である」と説いておられます。
本当の幸せは、欲望を満たすことではなく、満足する心を取り戻した時、訪れるのではないでしょうか。
お酒もホドホド、楽しむ程度にしたいですね。