仏事ここが知りたい
寺mono ─ 解説!お寺の道具
木魚
こころ和む懐かしい音色
木製で、棓(バイ)でたたいて音を鳴らす鳴物(ならしもの)の一種。
バイのあてどころや力加減によって、音色が異なり、それぞれの木魚の個性に合わせて良いポイントをさぐるのが、法具として「仏音」を奏でる際の心がまえである。
音が響くように中が空洞になっており、例えるならば鈴のような形である。大きいものほど低音で重みのある音色になるが、打ち鳴らすバイの大きさも相当なものになるなるので専属の副堂という役が担当することになる。
本山、永平寺や總持寺の木魚はかなりの大きさでその迫力に圧倒される。
読経の際にたたいて音を鳴らし、その音のリズム(速度)にあわせてお経を読む。読経の全体の流れを生み出し、いわばパーカッション的な存在。
魚の形をした魚鼓(ほう)がその原型であったといわれるが、改良されてより使いやすい現在の形になったと思われる。
表面には、鱗の彫刻がされており、一般的に龍頭魚身で口には玉をくわえたデザインのものが多い。「魚が化して龍となる」登竜門の故事によるものであるとの説がある。
「お寺の木魚がドクロに見えて怖かった」と話す人がいたが、たしかにそう見えないこともない。上下を逆さにすると龍がモチーフであることが良くわかる。
中国明の時代に確立されたとされ、日本には黄檗宗の渡来とともに広まり、読経の際に欠くことのできないものとなった。
[参考文献]禅宗小事典・広説佛教語大辞典