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仏事の知識と心得
施食会(お施餓鬼)って何のこと?
仏教の世界には六道といわれる「地獄(じごく)」「餓鬼(がき)」「畜生(ちくしょう)」「修羅(しゅら)」「人間(にんげん)」「天上(てんじょう)」の六つの世界があります。
この六道の一つである餓鬼道(がきどう)に堕ちて苦しんでいる無縁仏様を供養する法要が施食会です。多くのお寺では、百カ日法要や、ご先祖さまの霊を供養するお盆に行なわれますが、お彼岸や年回法要などにも行なわれます。
曹洞宗をはじめとする禅宗では、「生飯(さば)」という施食作法があり、これは食事のときに七粒ほどの米粒を供養するもので、これにより供養されない亡者(もうじゃ)や、生前に犯した罪によって飢え苦しむ餓鬼道に堕ちた仏様に施す作法なのです。
施食会にて読まれるお経は「甘露門」です。
全体は「奉請(ぶしょう)」「発願(ほつがん)」「施食(せじき)」「見仏(けんぶつ)」「発心(ほっしん)」「回向(えこう)」の組み立てになっています。そのなかに、真言(陀羅尼「発菩提心真言」「大宝楼閣善住秘密根本陀羅尼」などが加えられ、施食会をより厳(おごそ)かなものにしていったと考えられます。
お釈迦さま自ら弟子に直接説かれた教え(仏説)の一つ「仏説救抜焰口餓鬼陀羅尼経(ぶっせつぐばつえんくがきだらにきょう)」は、十大弟子のお一人である阿難尊者(アーナンダ)にまつわるお話です。阿難尊者は、お釈迦さまのいとこで、常にお釈迦さまの傍らで、お釈迦さまの教えを一番よく聞かれた方です。「多聞第一」と称されます。当時のことゆえ、聡明な阿難尊者はお釈迦さまの教えを記憶によって覚えておられたそうです。
このお経には悪業の報いとして餓鬼道に落ちた亡者、口から炎を吐く焰口餓鬼が「汝は三日後に死ぬであろう…」というようなことを、阿難尊者に告げたという物語がお経にかかれています。