過去の法話

少欲知足

奈良県 瀧川寺住職 大谷良心 老師

少欲知足を直訳すれば
『欲望を少なくして満足をすることを知る』
このようになります。
しかし、この訳になれば(我慢・辛抱)このようにしか意味をなし得ません。
故に正しい解釈は
『自分にとって必要なもの不必要なものを正しく判断すること』
これが少欲知足のお示しになります。
最後の説法という状況をもう一度顧みて見ましょう。

亡くなられた場所クシナガラは、現在でもインドの田舎の田園であります。
しかし、2600年前の当時は田園地帯よりも豊かな森林が多かったと考えられます。
集落は密集し、お釈迦様の一行は集落から少し離れた森の木陰で休まれたのでしょう。
故に涅槃図のように多くの動物が生息していたのです。
弟子以外の人もたくさん集まってきていたのでしょう。

『お釈迦さまは死を覚悟されていた』とすれば、道元さまが名刹や吾我に関して常にお示しのように、常日頃から説かれていたのが少欲であり知足なのです。

お釈迦様の根本は、縁起と八正道です。
八正道とは
①正しいものの見方
②正しい考え方
③正しい言葉
④正しい行い
⑤正しい生活
⑥正しい努力
⑦正しい注意力
⑧正しい精神統一
であります。

私たちは毎日の生活において、『自分にとって必要な物、いらない物をこれを正しく判断していく』これが、少欲知足の教えなのです。 身体は年齢と環境とともに必要な物を要求します。心もお釈迦さまや道元さまのお示しのように豊かさを、求めたいものです。

2004/06/24